2020.10.21
治療の3つの側面①
治療というのは段階により考え方が分かれるところがあり、
単純に見て大きく3つの側面に分かれます。
①急性症状を含む痛みで出来るだけ早く改善する必要がある治療。
②急を要するわけではない(痛みの大小に差はある)が徐々に改善して機能を取り戻してゆく必要がある治療。
③徐々に悪化してゆく機能に歯止めをかける現状維持の治療
治療の3つの側面
①急性症状を含む痛みで出来るだけ早く改善する必要がある治療。
この段階の治療は分かりやすく。
例えば下の写真のような
損傷した期間が数週間以内であり、ぎっくり腰やヘルニアなどの急性症状があり骨格の移動が大きい場合には、
自然に完治することはあまりないことになりますので、治療により元に戻さなければいけません。
②急を要するわけではない(痛みの大小に差はある・・慢性痛)が徐々に改善して機能を取り戻してゆく必要がある治療。
治療を必要とする患者さんの中で最も多いのがこの段階だといえます。
この段階の治療は、急な改善は少なくても複数回の治療と数週間から数か月間の期間を要します。
例えば、
10年前にヘルニアの診断を受けて、この1~2カ月で生活に支障が出てきた方というのは、
筋肉と関節の状態が硬い状態にあり2~3週間の間に5~7回というのが平均的になりますので急な改善はないといえます。
③徐々に悪化してゆく機能に歯止めをかける現状維持の治療
あまり目立たないところですが、悪化させないというのも立派な治療になっているのです。
例えば、
写真の患者様は、脊柱管狭窄症の末期症状で馬尾型という脊髄の部分が圧迫を受けている状態の患者様の中には、
一定以上の改善は出来ないという方もいます。
脊柱管狭窄症の末期症状というのは筋肉の萎縮や内臓の不具合(排尿障害、胃腸の消化吸収、排せつ)につながり、そのまま寝たきり状態になる前段階のようなものなので治療で少しの改善が見られたら。定期的に治療をして悪化を防ぐというのは有効性が高く。 該当する患者様には定期的なメンテナンスを勧めています。
例えば、
90歳まで生きるとして、80歳から「10年間、寝たきり状態になる」のと「少しくらい痛みがあっても動いていられる」
どちらがいいかという突き詰めた問題になれば治療により防止が出来るなら効果的ということになります。
脊柱管狭窄症の末期症状を患う患者様は、姿勢のベストポジションに点と線がそろう事がほとんどないといえますが、
少しでも治療が効いて現状を10年保てるようなら効果が上がっているという見方になります。
治療を受ける考え方として
治療には様々な段階があり、
①急性症状を含む痛みで出来るだけ早く改善する必要がある治療。
②急を要するわけではない(痛みの大小に差はある・・慢性痛)が徐々に改善して機能を取り戻してゆく必要がある治療。
③徐々に悪化してゆく機能に歯止めをかける現状維持の治療
このように、主に3つの側面に分けて語りましたが、
実際、① ② ③という段階というのは明確な線があるわけではありません。
大きく分けて
①と②は改善を目的としているので、ある程度の期間内に集中継続して行うべき治療となりますが、
③はこれ以上の改善は難しいが最低限。今の機能を維持したいという定期的なメンテナンス治療になるというわけであります。
①②③というのは実際は、混在していることが多く一般的なパターンがありますので実例で見ていきます。
(実例①)
①と②は、「急性の痛み」と「慢性痛」がセットになっている状態というのは実はとても多く、
例えば、
椎間板ヘルニアの中の髄核が飛び出して痛みを起こすとき、飛び出すときは急にきますが、
実は長期的に周辺の繊維が硬い状態が持続していて、
硬い状態で衝撃を受けて椎間板ヘルニアのになるというパターンが多いのです。
急性の痛みと思われますが慢性的な繊維、筋肉の硬さが元の原因になることがほとんどだという事になります。
よくあるパターンだと腰(腰椎)には椎間板が6つありますが、
6番目の関節軟骨に椎間板ヘルニアの軽症状態があると常に慢性的な軽い痛みがあることになります。
すると周辺の繊維組織も硬くなり慢性的な筋肉の硬化が促進して周辺の椎間板の萎縮が進んでいることになります。
そこに椎間板が急な転倒や動作などで刺激されると、次に起こす5番目のヘルニアが強烈なものになるというパターンであります。
これは慢性痛の強い影響が急性痛を引き起こす原因になっているという事になっています。
そして改善するときも損傷した5番目のヘルニアが先に改善して、後に6番目も改善するという傾向が強いので、
改善に時間かかる場合。・・(2~3回で改善してしまう事もある)
最初は2週間に5回の治療、完治しないので月に1~2回の治療を3~6カ月続けるという感じで進めていきます。
(実例②)
①と②と③の混在はさらに複雑です。
①②は「改善を目指す治療」
③は「改善が困難で現状維持を目指す治療」
この2つが混在する治療となるとパターンが複雑多岐にわたります。
例えば、
脊柱管狭窄症の末期症状と初期症状が重なっている場合。
来院時の主訴が
「痛みが最近、(太もも、お尻が)歩くと強くなってきた」
「草むしりをしていたら痛みが取れなくなった」
というわけで、普段から下肢がしびれて(10年前にヘルニアの診断)ふくらはぎの痛みが慢性的にある場合。
6つある腰の関節の全てが消失していることは少なく、
5,6番目が狭窄症の末期症状。
3番目が狭窄症の初期。
1番目がヘルニア。
という状態。
急に痛みが出現してきたという場合であると、急な痛みの原因というのが急性部分の損傷(1番目がヘルニア)で関節か筋肉に炎症を起こして神経を刺激して太もも、お尻が痛くなってきたとの思われます。
脊柱管狭窄症の末期症状(5,6番目)を抱える患者様というのは、慢性的に筋肉も硬くなることがありますので慢性的な血流障害にさらされて関節が硬くなって周辺の組織(3番目が狭窄症)を劣化の促進になり、徐々に1番目の関節がヘルニアになってゆくというパターンもよくあるといえます。
下の人体図で大まかに痛みの原因になる部位が推測できるのですが
先ずヘルニア(1番目)の急性の損傷が改善して、太ももの痛みが消えて筋肉が弛緩して、
圧迫を受けていた脊柱管狭窄症の3番目と5、6番目も関節と筋肉に柔軟性が戻り数日で改善してゆくという流れになります。
症状が改善する経過が
1~2回の治療で強い痛み(太もも、お尻)消えて、
3,4回目から下肢のシビレが減少して、
5,6回目から足先のシビレが残り、以後大きな改善はない。
という改善の流れ。
これは最初に書いた「治療の側面」を3段階に分けた。
①急性症状を含む痛みで出来るだけ早く改善する必要がある治療。
②急を要するわけではない(痛みの大小に差はある)が徐々に改善して機能を取り戻してゆく必要がある治療。
③徐々に悪化してゆく機能に歯止めをかける現状維持の治療
全ての側面が入った状態になっているという事になります
1番目がヘルニア。・・・・①
3番目が狭窄症の初期。・・・②
5,6番目が狭窄症の末期症状。・・③
最終的に伝えたいことは、
治療の3つの側面とは、
①急性症状を含む痛みで出来るだけ早く改善する必要がある治療。
②急を要するわけではない(痛みの大小に差はある・・慢性痛)が徐々に改善して機能を取り戻してゆく必要がある治療。
③徐々に悪化してゆく機能に歯止めをかける現状維持の治療
この3つのカテゴリーの半分は、
①と②と③と明確な線で分けることが出来ません。
多くは①と②が混合していたり、①②③が混合していたりしていることがほとんどであります。
つまり。
①「急速に改善する部分」
②「徐々に改善する部分」
③「改善し難い部分」
が共生していて、状態が悪い患者様ほど、
どのような経過を辿るか分からない事が多いのです。
治療だけでは改善しない患者様に対して
お悩みの深い患者様が最も知りたいことは自分が改善するのか?
という事になるかと思われます。
①急性症状を含む痛みで出来るだけ早く改善する必要がある治療。・・・「急速に改善する部分」
②急を要するわけではないが徐々に改善して機能を取り戻してゆく必要がある治療。・・・「徐々に改善する部分」
③徐々に悪化してゆく機能に歯止めをかける現状維持の治療・・・「改善し難い部分」
①②は改善してゆく段階ですので気にはならない事があります。
問題となるのは、
③の「徐々に悪化してゆく機能に歯止めをかける現状維持の治療」になります。
何といっても「改善し難い部分」が体のどこかにありどうなるか分からない?
重症の患者様は不安になることは仕方ありません。
これについては「メンテナンスについて①」を読んでください。
メンテナンスについて①
定期的な施術が必要な方
●重い症状に長い間悩まれたか方
●薬が必要なくらいの症状が改善した方
●生活習慣の改善が困難な方
●変形性関節症(脊柱、股、膝)が進んでいる方
●姿勢の維持が困難な方(運動不足、加齢による筋力不足)
●からだが硬い方(運動不足、加齢による筋硬化)
●猫背・骨盤のゆがみがある方
●若い頃より身長が縮んだ方
●手足が動かしにくいと感じる方
●最近、疲れやすい歩きにくくなった
上記の条件が一つ二つだけでなく、複数当てはまるようなら定期的に通院することをおすすめします。
治療の目的は「体の状態をよくする」ことですが、それを決めているのが筋肉と関節の状態なのです。
上記の方は、筋肉と関節の状態がよくない、回復しにくい、再発しやすいという可能性が高く、
何かのきっかけに悪化する可能性があります。
患者様の意志と状態が通院回数を決める
例えば、変形性股関節症、変形性膝関節症、脊柱管狭窄症などは状態の程度問題の幅が広く、
筋肉と関節の状態がとても関係しています。
患者様がどの程度治りたいかゴール地点を考える必要があります。
①軽症だと数回の治療で完治して来院の必要がなくなる患者様もいますが、
ずっとバリバリ働きたい。これ以上悪化させたくない、またあの痛みに戻りたくない
とお考えになら予防治療としてメンテナンスで通院する方もいます。
「治る」とはどう考えるのか?
下の写真の患者様は、左の変形性股関節症と診断を受けて腰痛と左足に坐骨神経痛をかかえていますが、年齢が70代後半で20代に股関節の変形している診断を受けたということは50年ズレていた状態を放置しておいたわけです。
腰痛は軽減して、左の坐骨神経痛はなくなり、シビレも消えましたが左股関節の変形は治せません。左膝と足首も角度が違うので診断はされていませんが変形していると思います。
本来は変形させてはいけないのですが、変形が大きく進むと
下の患者さんは、左の股関節の手術を勧められて当院で12回の通院して頂いた患者様、1か月の期間がかかってますが、状態の度合いからすれば上の下(重症の中の軽い方)ですが、まるで別人のようですが背が伸びてとてもスリムになりました。体重もずいぶん減ったようです。
12回のうち変化を見ていくと徐々に細くなっているのが分かりますが、2~3回目からずいぶん効果を感じられて、
歩きやすくなり痛みが軽減して歩くことを進めました。
状態が悪い患者様ほどよくなるのに時間が掛かる傾向があり、10回目で急に身長が伸びていますが、
最低ここまでは継続治療していかなければいけません。
凝り固まった筋肉と関節の状態が緩み血流・神経の流れが解放されて自然と良くなる軌道に乗れると体の状態が良くなります。